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杉山淳一の時事日想:
鉄道車両の出自は大きく分けて2種類ある。鉄道会社が自社で製造する場合と、鉄道車両メーカーが作って納品する場合である。日本の鉄道の歴史をさかのぼると、初期は米国、英国の車両メーカーから購入した。車両の運行では保守点検が不可欠なので、保守点検用の工場が作られ、やがて車両の新製にも着手する。そのため国鉄は鉄道車両工場をいくつも持っていた。JR東日本が新津(新潟県)に車両工場を構えたのもそうした経緯による。
【他の画像】
日本の近代化や戦時需要などで鉄道が発達すると、国鉄は自前の工場だけでは足りなくなり、民間の工場に委託し始めた。日立製作所や川崎重工の造船部門が鉄道車両事業を担った。民営鉄道は外注が多かったものの、規模の大きな鉄道会社は自前の車両製造工場を持ったり、民間の車両製造会社を買収して子会社化したりした。西武鉄道はかつて自社向けの車両を製造していた。近鉄には近畿車両という子会社があるし、東急電鉄は東急車輌製造を持っている。
日本では「子会社」という形態を除くと、自社向けの車両を製造する会社はJR東日本だけである。これは世界的に見ても珍しい形態だ。しかもJR東日本の新津工場は相模鉄道や都営地下鉄、小田急電鉄向けの車両も作っている。JR東日本の新津工場も他社の車両を受注しているように、鉄道車両は外注が一般的だといえる。
●車両製造は外注が一般的
バスや飛行機は、それぞれのメーカーが新機種を開発し、運行会社に売り込む。だから路線バスや観光バスは同じメーカーの車種が多く、運行会社によって車体色が違う程度の差しかない。
鉄道車両も運行会社がメーカーから購入する方式だが、バスや飛行機とは違い、運行会社が外観デザインも含めた意匠や仕様を決定し、複数のメーカーに発注する。規模の大きな路線では大量に同型車両が必要になるし、すべての車両を同時に作れる規模の会社がないからだ。例えば、まもなく引退する100系新幹線電車の場合、メーカーは日本車両製造・川崎重工業・日立製作所・近畿車両・東急車輌製造などさまざまだ。
海外のほとんどの鉄道でも車両は外注だ。車両製造の最大手はボンバルディア(カナダ)、アルストム(フランス)、シーメンス(ドイツ)で、世界の鉄道車両市場の半分を占める。この後に米国のGEトランスポーテーションとエレクトロ・モーティブ・ディーゼルが続くという。
日本では日立製作所や川崎重工が大手とはいっても、世界の市場ではまだ小さい。それでも日立製作所は英国・韓国・ドバイ・シンガポールの鉄道に納入し、英国・インド・ブラジルに生産拠点を準備中だ。川崎重工は台湾の新幹線車両、シンガポールやニューヨークの地下鉄車両で実績を上げており、米国に生産拠点を構えている。
●JR東日本は東急車輌製造を救ったのか
鉄道業界は車両の外注化へ向かっている。そんな中で、なぜJR東日本は自社製造にこだわり、東急車輌製造まで手に入れて強化したいのか。日立製作所や川崎重工が世界へ視野を向けているというのに、これでは逆行ではないか。
JR東日本のプレスリリース「東急車輌製造株式会社の鉄道車両製造事業の経営権取得について」(2011年10月27日)をまとめると、「東急車輌製造の開発設計力や特急車両の製造能力を高く評価し、車両製造事業をJR東日本の第4の柱とする」「国内市場、海外市場への積極的な展開」となる。東急車輌製造の技術と生産能力を高く評価したようだ。
一方、同日の東急車輌製造側のプレスリリース「会社分割(吸収分割)および事業譲渡に関するお知らせ」をまとめると、「需要の激減による市場縮小」「一層の競争激化」「環境は極めて厳しい状況」などと寂しい言葉が並ぶ。筆者は生まれてから思春期までを東急沿線で過ごし、東急車輌製造が作った銀色の電車に揺られて育っただけに、この言葉は悲しいし悔しい。その反面、JR東日本さん、東急車輌製造の技術と人々を救ってくれてありがとう、という気持ちも起こる。
画像;日本初のオールステンレス製車体、ほか(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1203/02/news004.html)
東急車輌製造は銀色電車=ステンレスカーの始祖であった。日本で初めてステンレス車体を採用した東急5200系を製造し、米国バッド社と提携したオールステンレス車体の東急7000系を作った。その技術と生産力で関東の大手私鉄や国鉄、JRへ向けた多数の車両を手掛けた。いまも旅先で「東急車輌」の銘板を見るたびに、なぜか筆者も得意な気持ちになる。
東急車輌製造はJR東日本のお召し列車「E655系」を製造するなど、名誉ある仕事を担う一方で、業績は芳しくなかったらしい。最大のライバルは、ステンレスカーに対抗して登場したアルミ製車体だ。特に日立製作所が開発した「A-Train」は秀逸だ。
巨大な押し出し成形機で補強付き中空壁の車体を丸ごと作ってしまう。部品点数が大幅に下がりコストも下がる。客室の張り出しも少ない。この「A-Train」を採用する鉄道会社が増えている。
これに対抗する意味もあるのか、2000年に東急車輌製造とJR東日本が共同でE231系を開発した。省エネルギーと生産コスト、運行コストの低減、運転系統や旅客案内設備などへの新技術の導入が目玉で、両者はこれを次世代標準車両とし、通勤から長距離まで、わずかな設計変更で対応できるように設計した。アルミ押し出し一体成形の「A-Train」に対して、モジュール組み立て方式のメリットを押し立てた。
その後、JR東日本の車両はE231系をベースに作られているし、他の私鉄も採用している。JR東日本と東急車輌製造のプロジェクトは成功を収めた。これもJR東日本が東急車輌製造を譲受した一因になっているだろう。
●JR東日本の理想と信念
JR東日本と東急車輌製造は親密な関係にあった。だからJR東日本は東急車輌製造を救った。そう考えたくなるけれど、そればかりではなかった。なぜJR東日本は車両部門を強化したいか。その理由は、2011年9月に開催された「鉄道技術展」において、JR東日本の石田義雄取締役副会長の基調講演で明らかになった。
1987年に日本で国鉄がJRへと分割民営化された頃、欧州でも国鉄改革の気運が起きた。理由は共通しており、国営形態の不透明性、赤字の放置、労使関係の悪化などであった。このとき、日本と欧州では民営化に決定的な違いが起きた。
日本は国鉄を地域別に分割した。しかし、欧州では上下分離を実施した。鉄道施設は国または自治体が保有し、列車の運営は民間が行う方式だ。高速道路とバス、飛行場と航空会社、港と船会社のような関係を、鉄道と列車に求めた。
これは理にかなっているように見えるが、実際は鉄道施設側のコストダウンの度が過ぎたために、施設の老朽化と、それに伴う事故が多発した。欧州の鉄道関係者には、路線のすべてに責任を負うJR方式を評価する動きもあるという。
欧州では、国鉄解体、上下分離の結果として、国鉄技術者の解雇、流出が起きた。彼らを引き受けた会社がボンバルディア、アルストム、シーメンスなどだった。各国の国鉄にぶら下がっていた鉄道車両部品メーカーもM&Aが進んだ。この結果、鉄道車両製造の主導権が列車を運営する鉄道会社から車両メーカーへと移転した。
すると、鉄道車両は従来のオーダーメイドからレディメイド型になっていく。標準化、互換性を進めてコストは下がった。しかし、コストを重視して共通化しすぎたため、お客さま、つまり乗客と車両を制作する立場に隔たりができてしまった。乗客無視の鉄道車両製造は良くない。車両はお客さまとの接点であり、鉄道会社が責任を持つべきだ。これがJR東日本の考え方だという。
鉄道車両のイニシアチプは列車運行会社が持つ。海外大手車両メーカーとは決定的に違う考え方に「日本の車両製造が世界へ進出できる商機がある」と、JR東日本は判断した。日本では飽和しつつある鉄道車両製造は、海外に勝機がある。ならば体制を強化して本気で取り組もう。それが東急車輌製造を引き受けた理由だった。
日立製作所や川崎重工は海外大手と似た手法、いわば“正攻法”で戦おうとしている。JR東日本も同じでは共倒れになるかもしれない。しかし、JR東日本の車両製造のメリットは、顧客となる鉄道運行会社、そしてその乗客と共感できることにある。
●JR東日本も海外を見ている
実は、鉄道会社による車両メーカー取得はJR東日本だけではない。JR東海は2008年に日本車両製造と提携した上で友好的TOBを実施。日本車両製造の過半数の株を取得して子会社化した。理由は「リニア中央新幹線の車両開発と製造力の強化」だった。これは、リニア中央新幹線へと突き進むJR東海の「強い意思」と「コストメリット重視」ともいえるし、既存の新幹線を海外の高速鉄道へ輸出する際の利益の確保ともいえる。
鉄道路線にとって、線路と車両はコンピュータのソフトとハードのような関係だ。線路は一度売ったら終わりだが、列車は経年劣化による交換が必要だし、路線の運営が成功すれば増備も必要になる。約20年という長い間隔ではあるけれど、車両は何度も売れるのだ。JR東海はきっとそこを考えており、すでに車両輸出で先鞭をつけた日本車両の実績にも期待しているだろう。
ところで、2011年11月に、JR東日本が中心となって、海外鉄道コンサルティング事業を営む会社の設立が発表された。会社名は「日本(にっぽん)コンサルタンツ」。出資比率はJR東日本が54%、JR西日本と東京地下鉄が同じで21%、JR九州、JR貨物、東急、京阪が1%ずつとなっている。日本の優れた鉄道技術を海外に売り込もうというプランが動き出す。
JRには高速鉄道だけではなく、正確なダイヤを維持するノウハウや、JR東日本が仙石線で稼働している新しい信号システム(ATACS)、鉄道情報のIP化などの技術がある。車両だけではなく、鉄道路線を丸ごと輸出する準備を整えようとしている。ここにJR東海のリニア、JR北海道のDMVやGPS運行システムなどが加われば心強い。
JR東日本は東急車輌製造を手に入れて足下を固め、水平線の向こうを見ている。
[杉山淳一,Business Media 誠]
(この記事は産業(Business Media 誠)から引用させて頂きました)
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